-10周年企画|連載第7話-
支えてくださった皆さまと共に育んだ10年を振り返ります。
【#7】とりあえず、やってみる。——“現場×人の手”が生む、UZUiROのカルチャー

あっち(UZUiRO代表)|
仕事中なのに、最近は大工ばっかりしてる——そんな冗談をよく言われます。
取引先さんが車で来ると、DIYの道具を積んで工房内を動き回っているのを見て「またやってるね〜!」と笑い合ってます。
その“現場のリアル”こそが、UZUiROの服づくりを支える一つの大切な要素なんです。
効率だけじゃ届かないものがある——最初の選択肢の先に
発端は、重いロール状の生地反物が何本も積まれて、下の一本が引き抜けないという切実な現場スタッフの声。
「仕切りが欲しい」「もっと細かく区切りたい」。
そこで棚に仕切りを作って改善をするために、考えた選択肢は三つ。
①プロの大工さんに頼む
②既製棚を買って応用する
③自分でなんとか作る
時間効率だけを見れば①か②です。
でも、“ちょうどいい”棚は売っていない。
無理やり使えそうなものはあるけれど、使い勝手が悪くなるのは目に見えていた。

そこで、長い目で使いやすいようにという考えから、③「自分で作る」を選びました。
(多分、普通に考えれば、最も面倒くさくて効率が悪い、避けたい選択肢だと思います。)
暑い日、木粉で白くなりながら電ノコで木材をカットし、ドリルで穴を開け、“現物合わせ”で微調整。
でも、そんな苦労して、手間をかけていると、手を動かしたからこそ、初めて見える課題がある。
「効率」「費用対効果」だけでは測れない価値に、現場で何度も感じてきました。
そもそも店舗は、おばあちゃんの家を自分たちでフルDIYしましたし、大工作業自体がアパレル事業の本業とは異なりますが、それが10年経った今でもお客様へ独特な空間として店舗を楽しんでいただいていますし、かなりの設備予算の削減につながってきました。

開業前のDIYのお店づくりの様子
こんなふうになってたら、使いづらいし変えちゃおう!!
いや、ここをこうしたらこんな見え方になって面白いよね!!
などなど、パッとその場でオリジナルな仕様に変えられることが、自分でやることのメリット。
(ただし、時間はめっちゃかかります💦)
机上の空論より、現場のリアルで生まれる気づき。
“とりあえずやってみる”が、いちばん学びを連れてくる。動く前に考えれば考えるほど、深みにハマりやすく、逆に壁が高く感じてしまう。
創業時を振り返ると、「資金の余裕もないから自分たちでなんでもやってきた」が正しい表現かもしれませんが、
それが確実に糧となって10周年を迎えています。頭で考えて悩むよりも、まず動く。後で振り返ると、「あんなことよくやったね」と思えることが多い。
だからこそ、いろんな突破口が生まれ、チャンスがめぐってきたと思っています。
創業2年目のお店の漆喰塗りを自分たちで
“やってみる”でしか刻まれない記憶
図面上は完璧でも実物はイメージや計画とズレる。
どんなに経験を積んでも、服作りでは起こることです!
だから、体に染みついた経験や感覚をいうものも非常に大切にしています。
手を動かすと、身体に記憶が残りやすいって経験よくありませんか?

文字を手書きした内容が不思議と頭に残るのと同じで、流した汗の量に比例して、学んだことは忘れにくくなる。
その記憶から、次回はここをこうしよう、もっと違う道具にしよう——改善の芽がどんどん出てくる。
服づくりも同じ。CAD(デジタルツール)で線は引けても、縫い代のふくらみや染め後の収縮や風合いは手で確かめないとわからない。
触って、縫って、染めて、ほどいて、また直す。その繰り返しから、良い服が作れる技が身についていく!

こんな泥臭い往復運動が、UZUiROの“着心地の説得力”を作ってきたんだと思います。
アイディアがあるなら、とにかく失敗してもいいから、まずは実物の服になるまで形にしよう。そこから議論しよう!
これは、入社するUZUiROスタッフに必ず覚えてもらう仕事の向き合い方です。
そして、それがUZUiRO服作りの文化です。

70代の職人が教えてくれた、“不便さの中の創造”
三河地域の繊維工場を生産加工の依頼のために、毎週回っています。
私たちがお願いする三河、知多地域の繊維工場は、長年運営されているところばかり。いわゆる古い工場さんがほとんどです。
FAXしか通じないところもまだたくさんあります!
でも覗いてみれば、壊れた機械にホームセンターのパーツを加工して取り付けて直してあったり、びっくりするような工夫で動かしている。
機械が古すぎで、メンテナンス業者もいないから自分たちで無理やり直して稼働させているのが当たり前の世界なんです!!

人気生地 ガーゼ素材の打ち合わせの様子
「仕事というものは、まずはあるもので最適解をつくる」という誇りがそこにあるように感じられます。
ご本人たちは、「お金がかかるから自分でやってるだけ」と笑いながらおっしゃいますが、私からするとまさに職人魂!
繊維業界ではありませんが、お隣の大工さんに聞けば、昔は丸太から家を建てるのが当たり前だったと笑って話していました。今はプレカット材を組む仕事が主流で、応用の幅が狭まるとのこと。服づくりも似ていて、分業と効率化が進んだ今だからこそ、自分で考え、手を動かし、工夫する力を失わないように——
それがUZUiROのアイデンティティ!
でも、時代に合わせて必要なデジタル化も同時に進めていますよ♪
「気づいたら提案」「やってみる」——現場が育てるチーム
社長の私が、大工もやってしまう??ように、UZUiROでは、ひとつの作業だけを延々とやり続けるという文化ではありません。
縫製の人が梱包を学び、染色スタッフが撮影現場でモデルに立つ。役割を跨ぐからこそ、
「ここ、こうしたほうが良くない?」という改善提案のアンテナが立つんです。

もし、必要なことがあって自分たちでやれるならやっちゃおうか!と企業文化を育んできました。
しばらく任せていた業務に久しぶりに入ってみると、「あ、このルール、昔の自分が決めたのとだいぶ変わっているな」と気づくことも。
提案は歓迎、やり方が変わるのは改善の証、変えてみてダメならその失敗は学び。
変化を楽しむという一本の軸が、10年間のUZUiROの成長を支えてくれました。
効率は大切。でも“人の温度”を失わない。

会社を続ける以上、利益率も在庫回転も大切。スタッフの給料の支払いも当然きちんとしないといけませんし、キャッシュフローは会社の生命線です!
だから、その相反する「手間をかけたものづくり」をしても、会社が成り立つ設計に、常に頭を悩ませてきました。
結果として、実はUZUiRO生産工場は、週3日しか稼働していないんです。
「工場は回してなんぼ!!」の感覚を持つ、銀行や同業者の方からもよくびっくりされます。笑
直販設計や生地の集約、製品染めの在庫リスク回避、縫製の内製化などで、うまく回る生産設計に改善してきたことで実現しました。
その一方で、限られた時間の中で現場で手を動かす時間は削らない。こだわりたい部分をもっと活かせる生産体制にできないかを常に考え、改善を実践しています。
効率化と人の手の温もりというハイブリッドが、UZUiROの服の「らしさ」を継続していけることだと信じています。
うまくいかない日もある。やり直しも、遠回りもある。それでも、“とりあえずやってみる”という行為が、
服に小さな物語を宿してくれる。
その温度感で作った服を、これからもお届けしていきます。
よくある質問(FAQ)
- Q. 自分で作る時間がないときは?
- A. 既製品の活用や外注します。大切なのは「使いづらい理由」を言語化し、自分たちが納得いく改善を重ねること。
- Q. UZUiROの“やってみる精神”は服にどう反映?
- A. パターンの引き直し、縫い代や仕様の微調整、染め後の再洗いなど、現場での手直しが着心地を底上げします。
- Q. その姿勢は暮らしにも役立つ?
- A. はい。完璧より実用、計画より実践。小さな一歩の踏み出しが自信につながります。



