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UZUiROクルー日記「機械にも性格があるんです!」和装を支える裏方の仕事2026.08.31

– 帯芯 –

その言葉を聞いたことがある方は、あまり多くないかもしれません。
帯の中に入る芯材のこと。

着物や帯を支える大切な存在でありながら、普段その姿を目にすることはほとんどありません。
しかし、それは華やかな帯の表地を生かすために、高い機能が求められます。
古いシャトル織機で、糸を限界まで織り込んで密度を高めて作られるその生地は、

-蒸れないための吸湿速乾性
-型崩れしないためのハリとコシ
-帯の締め心地工場のための、軽さと適度な柔らかさ

このような機能が仕立てられた帯の中に隠れて、
誰にも気づかれることなく役目を果たし続ける。

そんな“見えない素材”を100年以上作り続けてきた産地。
それがUZUiROのある、愛知県西尾市で受け継がれてきた「三河帯芯」です。

実は現在、日本国内で生産されている帯芯の実に95%以上が、愛知県西尾市一色町で織られているとも言われています。
華やかな帯を支えてきた日本有数の産地でありながら、その存在を知る人は決して多くありません。
現在、この地域で三河帯芯を織り続けている工場は、わずか数件。
長い歴史の中で受け継がれてきた技術は、今まさに大きな転換期を迎えています。

今回お話を伺ったのは、創業66年を迎える榊原帯芯の三代目、榊原さん。

工場へ足を踏み入れると、小幅のシャトル織機の軽快な音が響いていました。
その数は圧巻!!60台以上はあるでしょうか。

そして榊原さんは、並ぶ機械を見ながらこんな言葉を口にします。

「機械にもそれぞれ性格があるんです。」

三河帯芯一筋、66年

榊原帯芯の創業は昭和35年。
祖父の代から、この地で三河帯芯を織り続けてきました。
今年で66年。

創業以来、一貫して帯芯づくりをしています。

しかし榊原さん自身は、最初から家業へ入ったわけではありませんでした。
若い頃は着物業界の問屋で働き、呉服店への営業を経験。
着物や帯の色柄、素材を見る目を養いながら、着物業界の世界を学んでいったそうです。

その後、家業へ戻り帯芯づくりを一から学びました。
営業の経験を積んだからこそ、今もお客様との会話や提案に活かされていると話します。

機械にも性格がある

工場に並ぶ60台以上のシャトル織機。
その多くは長い年月を経て使い続けられてきた機械です。

「この機械はここが弱い。」
「こっちは雨の日に調子が悪くなる。」

榊原さんの話を聞いていると、まるで人の話を聞いているような気持ちになります。

同じ機械は一台もありません。
壊れやすい場所も違う。
調子の良い日も悪い日もある。

だからこそ、一台一台と向き合いながら機械の状態を見極めていきます。
長年機械と付き合ってきた職人だからこそ分かる感覚が、そこにはありました。

修理する人がいなくなった

榊原さんが家業へ戻った頃、周囲の環境は少しずつ変わり始めていました。
昔は近所に機械部品を扱う業者があり、困った時に相談できる職人さんもいました。
必要な部品はまだ手に入り、修理もお願いできたそうです。

しかし今は違います。

部品屋さんも機械屋さんも少しずつ姿を消していきました。

同じ部品が欲しくても手に入らない。
修理を頼みたくても頼める人がいない。

だから自分たちで何とかするしかありません。

部品を探し、加工し、時には自身で必要に迫られて覚えた溶接をして織機を動かし続けています。
帯芯を織るだけではなく、機械を維持することが、重要な仕事の一部になっているのです。

本では覚えられない技術

「こういう技術は、本やマニュアルだけでは覚えられないんです。」

榊原さんはそう話します。

実際に機械を触る。
音を聞く。
織機のクセを感じる。
失敗を重ねる。

そうして少しずつ身についていくのだそうです。
榊原さん自身も、長年機械を管理してきた親族から教わりながら、技術を受け継いできました。

「詳しい人がいなくなってから覚えようと思っても遅い。」

その言葉には、ものづくりの現場でしか感じられない重みがありました。

誰にも見られない金の耳

今回取材の中で印象的だったのが、帯芯の端に入る金色のラインの話でした。
帯芯はその特有である「金の耳」と呼ばれる線をいれて織られます。

しかし実は、この金線は帯になると姿を消します。
仕立ての際、帯幅に合わせて切り落とされてしまうからです。

仕立て屋さんにとっては大切な目印。
けれど、それ以上でもそれ以下でもありません。

でも、UZUiROにとっては、とにかく珍しい特徴的な生地の証!
シャツではあえて、その金の耳をデザインとしていかしました。

UZUiROのシャツのサンプルを見た時、

「金の耳が、見える形で使われるなんて考えたこともなかったですね。」

榊原さんは少し驚いたように笑いました。

当たり前すぎて価値だと思っていなかったもの。
それもまた、長年ものづくりを続けてきた職人ならではの感覚なのかもしれません。

それでも織り続ける理由

現在、着物の業界全体が縮小してきており、問屋や販売する店舗も少なくなっているとのことで、
三河帯芯を取り巻く環境も決して楽ではありません。

それでも榊原さんは毎日工場へ来て、機械と向き合い続けています。

取材の最後に、ものづくりについて聞いてみました。
すると榊原さんは少し笑いながらこう話してくれました。

「もともと、ものづくりが好きなんですよ。」

産業を守るため。
伝統を残すため。

もちろんそうした想いもあるかもしれません。

けれど、その前にあるのは、目の前の機械を直したいという好奇心。
もっとよいものを作りたいという純粋な気持ち。

その積み重ねが、結果として66年続く工場を支え、100年以上受け継がれてきた三河帯芯の技術を守っています。

工場を後にするとき、最初に聞いた言葉がもう一度頭に浮かびました。

「機械にも性格があるんです。」

榊原さんにとって帯芯づくりとは、機械と対話しながら続ける日々の営みなのかもしれません。

そしてその営みが、今日も静かに和装文化を支えています。

これまで表にでてこなかった素晴らしい地域の素材を、新たな価値へ!
UZUiROの作るシャツでぜひ感じていただけたらと思います。

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