-10周年企画|連載第8話-
上映会は“きっかけ”。本編は、私たちがこの地域の衰退産業に向き合いながら、顔の見える服を作り続ける理由です。
【#8】「ワタのまちに、応答しよう!」——三河の繊維と生きる、UZUiROの選択
文:あっち(UZUiRO代表)|
産業が縮むスピードは速い。
けれど、そこで暮らし、働き、積み上げてきた技術と歴史は、すぐには再現できない貴重なもの。
私たちは、地域にある技術の火を絶やさない道がないかを模索しています。
このページは、私たちが主催する映画上映会の紹介と、UZUiROが日々どう“応答”しているかの記録です。

なぜ、衰退していく産業に向き合うのか——それは“歴史やストーリー”に貴重な価値があるから
かつて三河では、機(はた)の音が生活のBGMだったというくらい繊維産業が盛んだったと聞きます。
日本に初めて綿が伝来したのは、私たちの住む愛知県西尾市。その綿を神様として日本で唯一祀る天竺神社も西尾市にあります。

明治時代には、矢作川の水流を使った珍しいガラ紡といわれる紡績船が川に並び、大正から昭和にかけて、日本でも先駆けて自動織機が普及し、繊維産業が大きくなった地域。
ガチャマンと言われる最盛期を経て、現在は海外への生産移転に伴い、全盛期の100分の1まで工場の数は激減しました。
まさに風前の灯、、、
そんな中で私たちの服作りは始まったんです。そんな私たちも地元に住みながら、全然知らなかったこと。
織る人、縫う人、染める人、整理加工で風合いを整える人。
さまざまな職人が次々と消えていく中で、愕然としたことは、もうその素敵な生地や生産方法が再現できなくなったこと。
確かに似た生地を海外で生産することはできるかもしれないけど、やっぱりどこか柔らかさや風合いが違う、、、
そんな体験を繰り返し、UZUiROは微力ながら、
「この地域で100年後も、面白い服が作れる環境を残したい!」

というとんでもなく難しい、果敢なミッションを掲げるようになったんです。
「ここで作られているから買いたい」というお客様の一言は、価格の話を超えて、“国内の服作りの技術や歴史、文化を残してもらいたい”という想いを購買という応援の形でしてくれている、と私たちは受け止めています。
現場の温度——機屋さんの“語り”と、一本の糸の向こう側
近所の機屋さんがご勇退されるときき、最後にその生地で作ったパンツを持って伺いました。
そこにはもう織機がなくなり、静かに片付けをしている空っぽの工場がありました。

昔話に花がさき、
「40年前、俺が家に入って機屋を継いだ時は、最新機を入れればスカイラインに乗れるぞ——そう言われて戻ったんだ」と話を笑い話に変えて話してくれました。でも会話の節々に、家業を継いだ誇りとこれまで向き合ってきた織物へのこだわりが感じられました。
整理加工場の事務をしていた奥さまの「機屋の人は家にいない」という笑話も、家=職場だった工場で、バリバリみんなが働いた昭和時代の生活を感じさせてくれました。
そういう語りと笑いが、これまで生産されてこられた布一枚一枚の説得力だったんだなと。
私たちが撮る写真、書く商品説明、袖を通した瞬間の実感——すべての底に、その生産現場に流れている温度や空気感も含めて、なるべくお伝えできるように努力しています。
歴史は足場——天竺神社と三河木綿、そして“今の暮らし”

UZUiROの近くには、綿を祀る天竺神社があります。古い書物に残る木綿の記録は、延暦18年(799年)。
江戸時代には、三河縞、三河木綿、幡豆木綿などの言葉で江戸に流通していたのだとか。
まさに、土地の歴史と記憶そのもの。その土壌に私たちは生かされているんだなと思います。
私たちはそんな地域性のアイデンティティを大切にしつつ、今の時代に沿った服作りを提供していきたいと考えています。
今は天竺神社の保存会会長さんと一緒に、活動もしています。
歴史とストーリーがあったからこそ、今のUZUiROが運営できているんだと謙遜しながら思っています!
「ワタのまち、応答せよ」上映会を西尾市コンベンションホールで行います!
——本編は、衰退する三河繊維業界を描くドキュメンタリー
映画『ワタのまち、応答せよ』の上映会は、私たちからの何かのきっかけになればと開催するものです。
映画監督の岩間さんもおっしゃられていましたが、地方の伝統的な産業に関わる多くの方が視聴してくれているそうです。担い手不足や経済的に厳しい地場産業が多く存在し、その街に暮らす人々のなんとかしなければという想いが、繊維産業の衰退を描くこの映画の内容と重なったという感想が多いそうです。
UZUiROができることはほんの微力でしかない。でも、何かきっかけが生まれたり、自分たちの服作りで1つでも地域の貴重な繊維技術が残るきっかけになればとおもています。
映画 上映会 概要
- 日時:2025年11月16日(日)14:00〜
- 会場:西尾市コンベンションホール
- 料金:高校生以下無料(一般は会場でご案内)
※当日は簡易な生地の実演・展示も予定しています。
最後に——あなたの毎日に寄り添う一枚が、地域の技術をつなぎます
産業の行方は、ときに大きすぎて、私たちでは無力に感じる時があります。そんな時でも、いつも応援のコメントやお声をくださるお客様のおかげで続けられています。この励みが私たちが継続できる力の源なんです!
だから、今日あなたが選ぶUZUiROの一着が、確かに機屋さんや縫製、整理加工、染めの現場の技術の継承の一助となったと言っていただけるような、服作りでお届けしていきます!
小さなブランドですが、地域の作り手としての覚悟を胸に、「ここで作られているから買いたい」と言っていただける服をこれからも!。
もし記事を読んで感じたことがあれば、サイズ・丈・色のリクエストや、日々の気づきをぜひLINEで教えてください。
あなたの声が、定番の改善や“特別”の方向性を決め、地域の服作りの継続へつながります。



