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草木染め・オリジナルテキスタイルで作るカジュアルウェア

スタッフ日記藍染とインディゴ染の違いって何?2017.02.02

今日は、よく聞かれるお話を。

デニムで、よくインディゴカラーって聞くけど、
そもそもインディゴって何?
藍染と一緒なの?違うの?

「まさに、いい質問!」

回答は、
似ているけれど、全く違う。

”天然”と”人工物”の違いです。

どういうこっちゃ?というあなたのために、
歴史的な背景と共にご説明します。

——————————————————-

【藍染】藍という植物から採れる天然の染料
その歴史は古く、世界最古の藍染の布は
紀元前2500年〜1200年頃
エジプトのミイラに巻かれていた布が残っているとのこと。

え、藍染って日本だけじゃないの?
そうなんです。世界各地で、
藍染は行われていました。
日本にも大陸から伝わってきたと言われています。

よく耳にする「インディゴ」というのは、
藍染に含まれる青色成分。
インド生まれの藍の品種「インドアイ」が
藍染の原料として世界中で使われるようになり、
「インディゴ」と呼ばれるようになりました。

なんだ、じゃあデニムも藍染も一緒じゃん!

違いますよ〜!
早合点は禁物です。

ある時、人類は気づきました。

「染料作るの、めっちゃ大変じゃん。
石炭のゴミの中に似た成分あるし、
これで、人工的に染料作れるんじゃね?」

そして、作り出されたのが人工的な合成染料の”インディゴ ピュア”
藍染と非常に似た化学構造式をもつ染料
1900年頃から普及したとのこと。

現代の私たちが履いているジーパンのインディゴ染のほとんどは、それです。

つまり、

藍染:天然の植物 藍(アイ)から採れる染料で染める
現代のインディゴ染:藍染を真似して人工的に作られた合成染料で染める

なぜ、それまで主流だった藍染などの天然染料から
合成染料に変わったのでしょうか?

それは、ズバリ
安い
簡単に作れる
染色を数値化できる
大量生産に適している
色持ちがよい

あっぱれ、技術の進歩!!

安価な合成染料に比べ、

値段が高い
染めるのも手間

均一な染色が難しい
色褪せやすい

そんな藍染を含む天然染料は衰退していきました。

(化学染料、植物染料も種類や特徴、技法がたくさんあるので、
全てが上記に当てはまる訳ではありません。)

よくある話ですね。
ポケベルがガラケーに、
そしてスマホに進化してきたようなものでしょう。

 

しかし、面倒くさ~い方法でわざわざ天然染料で手染めするよさもあります。

環境に優しい
微妙なニュアンスの色が、優しい印象となる
薬効が言い伝えられている

やっぱり、手間がかかるし、コストがかかっても
合成染料に負けないところはたくさんあると思います。

過去に使われていた合成染料で
発がん性物質を生成する可能性があるとして
現在は使用を禁止された事例もあったりしましたが、

環境負荷を減らす対策が生み出されたりもされ、
失敗と成功を繰り返しながら、
化学染料も日進月歩をしています。

つまり、どっちにも良さもあれば、
欠点もあるということ。

さらに言えば、藍染の中にもいろんな種類があって
いろんな方法があります。

というのも、

天然の藍の葉っぱを使うんだけど、その工程での議論もあるんです。

「日本古来の発酵建てこそが本物だから、その他は藍染って言っちゃダメ!!」
「天然植物の藍を使ったら、還元剤を使用した場合も藍染と言うよ。」

経験がない方はなんのこっちゃと思いますが、
どの分野でもあることですが、
いろんな意見があるんです。

で、私たちが日々考えているのは、

最終的に着る人にとって、
満足されるように製作されたものだろうか?

効率化、合理化でコストを重視したもの、
その反対に、高価格の材料と手間をかけたもの、
受け手によってその価値はそれぞれ。

しかし、「衣服が人の生活を豊かにし、幸せにする」という
ことが共通の基準であることに間違いはありません。

量産によって様々なファッションが安価に楽しめるようになったことは、
生活を豊かにしている一つの形だと思っていますが、
その反面、その大量生産が環境や労働の問題を生み出しているという観点からは、
生活を豊かにしているとは言えません。

植物染料で手染めした場合は、
供給量は減り、価格は高くなります。

需要と供給、環境とのバランスを保てていることが、
最終的に「衣服が生活を豊かにしている」ことだと私たちは考えています。

(あくまで個人の意見ですが、
現状の増え続ける世界人口の衣服を供給するには、
アップサイクルという概念がもっとも即効性があると考えています。)

当店では、お客様のご要望の価格に合わせて
日本伝統の本藍染(発酵建て)
インド藍(化学建て)
の両方の藍染を行なっています。

割建てといって、
すくもで発酵させて建てた藍染に
インディゴピュアを追加する方法などもありますが、
お客様にとってわかりにくいので行なっていません。

デザインの観点で言うと、
今でも植物染料で染められた作品に初めて出会った時の衝撃は忘れられません。

自分で染めてイメージしてデザインするって、
こんなに素敵なんだ!

微妙な色ムラ感や色味の絶妙さ、
植物染料だからゆえの、不確実性を生かした作品作り。
これが初心です。
(ちなみに、機械技術の進化で綺麗に高品質で染めることは、
本当にすごいことで、そうした技術も取り入れています。)

表現したいことと、
着る人が求めること、環境へのバランス。

経済性とサステイナブルは、相反するところが多く、
社会の大きなテーマとなっています。

それぞれのいい部分を生かして両立させることが
これからのモノづくりのスタンダードな考え方になっていくのではないでしょうか?

以上、藍染とインディゴ染の違いって何?でした。