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草木染め・オリジナルテキスタイルで作るカジュアルウェア

スタッフ日記素人からアパレル店をスタート!5年の節目に向けて、衣服づくりで想うこと②/ 生産 機械の捉え方 編 2020.12.11

ATCHです。
三河地域を中心に、地場の素材を使って衣服を企画製作し、販売している当店。5年という節目に向けて、現在の「衣服づくりで想うこと」を未熟ながらも書いていくシリーズ?!

前回の「①デザイン編」に続き、今回は「②生産編」です。

開業当初の5年前は、
平日は自分たちで全ての工程を手作業で行なって製作し、
週末にイベントなどへ完成品を持っていき手売りをするという繰り返し。

現在は、ありがたいことに当初と比べ、製作量も大幅に増え、地元繊維加工の現場とのお付き合いも多くなり、たくさんの方と携わるようになりました。

 

 

最初は、とにかく生産現場へ行き、取引の交渉をしながら知識を蓄えました♪
工場では、いつも夫婦ふたりで、

「お〜〜!!すごい!!」

と、様々な工場の繊維特殊機械を見るたび、そんな声を発していました。



打ち合わせのはずが、ただただ単純に工場見学を楽しんでしまう!
なんてことも(汗)、、、

そんな素人丸出しの反応は、
時として、工場責任者の方は嬉しいようで、
職人気質もあいまって、より詳しく説明してくれることが多かったです。

そんなこんなで、たくさんの愛知県内の工場を回りながら実感したこと。

それは、服を作るために要する工程は、かなり細分化され、
各分野のプロが、それぞれ多額の投資をして機械を導入し、
より高度な仕上がりで早く生産できるように日々その道を追求している。

紡績、染色、パターン、編み、織り、縫製、
それぞれ、かなり複雑な機械やソフトを使いこなしています。

そんなふうに学んできた
開業5年という節目で、未熟ながらふと思うこと↓

————————-

「機械を使うなら、効率化や価格を抑えることを求めるのだけではなく、
高度な付加価値をつけるためのものと認識していたい」

 

最初手作業だったのが、次第に機械や道具を使いだして、
手作業では無理なことを可能にしたり、作業を楽にしたり、より正確にしたり。
それが続けば、さらに労働力を向上させ、生産量を増やし、投資額が大きくなり、どんどんと高度化していく。
そして、どんどんと専門性が増していく。その機械で何ができるのか、どんなものなのか、専門家でないとわからないところまでいく!!

だから、アパレル素人だった私たちが工場へ突撃訪問をすると、

口を揃えて
「お〜〜!!すごい!!」

と感想をこぼしていたんだと思います。

色々な工場を回り、何度も取引を繰り返して関係を構築しても、
まだまだ知らない技術や方法がどんどん出てきます。

餅は餅屋とはよく言いますが、
専門的な機械の多くは、何度説明を聞いても全てを理解するのは難しいのが正直なところです。

自分たちは、衣服をデザインして、形にして、お届けする立場。
できる限り工程を知ってもらうように心がけて運営をしています。

お客様に専門的な工程の全てを理解してもらうのは、不可能なことも多いんですが、それをわかりやすく翻訳するようなつもりで、商品をご説明、ご提案するようにしています。

そもそも国内アパレル関連事業は、、販売者と消費者に情報の溝が深いと感じていました。旧式のアパレル販売形態は、生産に関わる情報は業界人にしかわからないクローズドな情報で、消費者は、ただただかっこイイプロモーションや雑誌が作る流行などの情報しか得られないようなイメージでした。ネットが普及した現在も、洋服ができるまでの情報を細かく知ることはけっこう難しいと思います。

ちなみに、話は変わって、アジア諸国の人件費は非常に安くて、国内生産は価格ではなかなか勝てません。そうなる前の、景気がよかったと言われる昭和時代の繊維業界は、各地域に商社があり、たくさんの下請け工場は、とにかく量と数、価格で生産を考えることが多かったという話を聞きました。

そもそも、現在の技術やものづくりを残していくうえで、「経済的に回る」というのは大前提です。
昨今の加速度的な時代は変化は、私たちのような小さな個人商店が、地域の工場との関係をさらに強く構築しながら、ブランディングし伝えていくという役割も、ものづくりを継続するために、新たな切り口、付加価値という点では、重要な要素になってきていると日々感じています。

地域の繊維工場のみなさんが当たり前にやってきたことは、実は知れば知るほど、高い技術で、量と数、品質という観点だけで考えるのは非常にもったいなく、ストーリーとして価値を伝えられるよう微力ながら日々試行錯誤しています。

「例えば、最新の機械は、確かに凄い!!
でも、家族経営の方が修理しながら使っている古い機械じゃないとできない生地もある。」

「当店は、手作業で衣服を染めている。わざわざ手で染めると個性的になるから。でも、綺麗にムラなく染めるには、機械で染めた方が綺麗に仕上がる。」

商品の開発までのやりとりや、苦労、こだわりなどを
生産の観点でもお伝えできたら、商品の見方は変わるのではないでしょうか。

まさに、自分たちが工場見学へ行って、「お〜」と感想を言った後に、
服を作るのと、そうじゃないのでは
想い入れが変わって、出来上がりも変わるので、
そんな実感してきたことをシェアできたらと思っています。

 

色々な技術の特徴を理解して、
最後の衣服の形となった時に、その良さをいかせているかどうか。

最初に戻りますが、

効率化や、価格を抑えることを求めるだけではなく、
付加価値をつけるための機械として認識していたい

 

この三河地域にある様々な機械とそれを扱う人。
そこを理解して、デザイン、企画をすること。

数や量を増やすためとして捉えることは大切ですが、
届けたいものを形にするための機械と捉える。

日々その能力を学び、どう生かすことができるか。

そう考えると、手作業と機械の両方の工程を通った衣服が、
当店の主力商品となったのは自然な流れだったなと振り返っています。

素人からアパレル店をスタート!5年の節目ですが、
まだまだ三河エリアを走り回り、学びながらアイディアをひねり出す作業が続きそうです。

ちなみにこんな記事を書きながら、当店も小さい染色機の導入を検討しています。
そんなタイミングだったので、自分たちの良さがなくならないようにと、今後の製作の方向性を考えながらの今回の記事なのでした。