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草木染め・オリジナルテキスタイルで作るカジュアルウェア

スタッフ日記生地の端、耳部分の話。2021.05.09

ATCHです。
本日は、当店が素材を企画する生産部分から、
生地耳について書こうと思います。

:生地の「耳」がピシッと揃っているデニムは、価格が高価になりやすい!?

よくデニム好きの間で使われる「耳」というワード。

ほつれ止めがされた生地端が真っ直ぐ揃った部分が縫い合わせれ、
デニム裏側の縫い目を見ると、ちょうど赤いラインなどが印となって、
「赤耳デニム」などと呼ばれたりと非常に高価な値段で取引がされていたりするものもあります。

逆に、最近のほとんどのデニムはロックミシンで縫製にて端処理をして縫い合わされています。


この違いは何なのでしょうか??

それが、「旧式の織機」と「新しい織機」の違いです。

 

:旧式のシャトル織機とは??

旧式のシャトルと呼ばれる力織機を使用して織られることで生地の端がピシッと揃います。

シャトルは折れたり壊れやすいそうですが、よく工場に行くとディスプレイ用にもらったりします♪

 

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ガッシャンガッシャンとなんとも迫力ある音がします!

このシャトルを使った仕組みとしては下の図のような感じです↓

(あのトレーニングのシャトルランとイメージは一緒です)

揃った耳部分に印のラインを入れられたりするのですが、デニムの場合はそこを目印にビンテージ価格などになったりしています。一台のシャトル織機で生産できるのは、最新の織機に比べたら5分1以下なんていうスピード感がほとんどです。

しかも、この旧式力織機は、古さゆえ、メンテナンスのアナログさが凄まじい!

すでに部品の生産は終了していることがほとんどなので、生産現場では工場のご主人自らが部品を代替えするなどして動かされていたりします。職人の絶妙な感覚による調整に頼るところが大きいとも現場から聞きます。世界的に見ても、この旧式力織機が通常生産で未だに多く稼働している日本はとても珍しいとのこと。

ピシッと揃った耳が生かされた旧式力織機の生地で作られたデニムに価値がでるのでは、そんな理由も一部ではないかと思います。

 

:では最近の織機とは??

最近の織機で多いのは、横糸を飛ばして織りあげるシャトルレス織機の「エアージェット、レピア」などと呼ばれたりするものです。空気で飛ばしている織機は、音がシュッシュッと鳴って特徴的です。

仕組みは以下のような感じです↓

横糸を端から端へ飛ばしたりします!!
そして両サイドを切って整えるという仕組みです。

ですので、こういった機械で生産された生地の端はフサフサしたフサ耳になります。

この耳をロックミシンで端を仕上げ、縫い合わせるというものが多いです。
生産のスピードは、シャトル織機より格段に早い!!

(デニムの専門家ではないので、諸所異論ありましたらご勘弁ください。デニムの例えは、あくまで生地の端を使った生産形態で一例あって、シャトル織機で生産された生地でも、耳を生かさずロックミシンで仕上げたパンツもたくさんあります。当店のパンツも、生地裁断の都合でそうしています。)

 

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:じゃあ、古い力織機で生産されたものが、希少になりやすいので一番いいのか?

そういうわけではありません。

ゆっくり織るシャトル織機の最大の特徴は、やはりその風合いです。
縦糸をピンピンに張りすぎる必要がなく、
当店では特に、ガーゼなどのふんわりとした風合いを旧式のシャトル織機で生産していただいています。
独特の柔らかさとなり、非常に相性が良いと感じています。

逆に、そのスピードの遅さゆえ、工場に受注が集中すると、
必要量を確保できないことなども生じやすくなります。

また、シャトル織機で生産しても、シャトルレス織機で生産しても、
特に風合いが変わらない仕上がりになるような生地もあります。
変わらないのであれば、効率的に新しい織機で生産された方がメリットが大きいです。

それぞれの企画する生地に適した織機であるということが、最大のポイント!!
これは当店が日々企画をしながら勉強し、難しい部分だなと感じていることです。

織機を熟知した職人のご主人に
いつも質問攻めになってしまうのですが、
糸の番手や拠り方、機械の特徴などによって、
作りたい生地が適しているか、
そもそも生産可能かどうかが変わってきます。

だから、足を運んで色々と相談できる
愛知県内の地場工場での企画生産が基本となっています。

結果として、それが現在の当ブランドとして重要な部分となりました。

 

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それにしても、古くから織物産業が発展し、古い旧式の力織機がいまだに普通に稼働しているのは素晴らしいことですね。
よくも悪くもかつてから発展した織物産業が、海外の生産が大きくなり右肩下がりで、小さな工場は最新設備に投資できる余裕がなく古い機械を大切に使ってきた、またその旧式機械にしか出せない強みをこだわりも持って生かしてきたというのが、旧式織機が稼働している背景にあるとうかがったことがあります。

生地を手に取った際に、耳がピシッと揃っているかどうかに注目してみると面白いかもしれません♪