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草木染め・オリジナルテキスタイルで作るカジュアルウェア

スタッフ日記循環を考える日々の実験♪ 貝灰を使った媒染。2020.01.28

どうも、ATCHです。

先日農家さんと話をしていましたら、
畑に対して、酸性土壌の中和のため、消石灰を撒いてアルカリ性に土壌改良をすると教えていただきました。
また、野菜にカルシウムを補う効果もあるとのことです。

ただ、石灰を使いすぎると土が硬くなったり、アルカリ過剰になってしまい、
野菜の育成に問題が出てしまうとのことで賛否両論あるようです。
はるか昔は、木灰や貝灰を畑に撒いて
土により負荷の少なくph調整してたらしいです。

「ん??この話、染色にも応用できないか??」
そんなことから、ふと思いつきました。

というのも、当店で藍染を行う際に、木灰や貝灰をストックしているのです。

できるだけ環境負荷のかからない方法で、お店を運営したいと常に考えており、
畑に撒けるもので、全て完結できるものはないかと模索しております。

ちなみに、貝灰ってみなさんご存知ですか??

その名の通り、貝殻を燃やした灰なのですが、
もともと漆喰や焼物の釉薬などで使われているそうで、
現在は、 石灰石からできる消石灰の量産により生産量も少なくなっているとのこと。

貝灰の主成分は、水酸化カルシウムCa(OH)2です。
石灰石の消石灰と化学的に概ね主成分が同じものと扱われているとのこと。
(左官材料の業界では消石灰と貝灰は似て非なるものとして扱われているそうですが。)

草木染めでは、金属塩(金属が入った化合物)を使って
媒染という色を発色させ定着させる工程があります。
石灰石から生成された石灰を使用した媒染の方法が、実は一般的なんです。

染料屋さんにも、石灰液なる名前の媒染用商品がよくあります。
どうも石灰石には、もともと、
酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化鉄(Fe2O3)などの金属類も
微量に含有しているらしく、石灰は媒染に都合がよいらしいです。

そこで、貝灰も石灰と主成分が同じならば、
媒染するとどうなるんだろう??
と実験してみました♪

まず、お湯で貝灰を溶かしてしばらく置いておきます。
貝灰は全て溶けませんので、濾す作業が必要です。
(当店は、布袋が都合がいいので自作して使ってます。導入したミシンで刺繍入りです♪)

そして、草木染め。

色々な染料で試しました。

貝灰液の色は濁って白身がかります。

その染色した結果の一部がこちら↓
ヤマモモ、茜、五倍子など。

 

堅牢度テストに出していないので、あくまで私たちの感覚ですが、

熱を加えて媒染をしっかりと行えば、
その他金属の媒染と比較しても同じような堅牢度での仕上がりといった気がします。

ちなみに、お気に入りの色が柿渋染。
天日干しでカチカチになる発色とは少し違った、
かなりいい茶色に発色します!!↓

イオンなどの化学的な正確な根拠は、
調べてみないとわかりませんが、
貝灰でも実際に定着し媒染することができました。
(実験の時は、次から次へ試していくので、
小さなバケツがあちこち散らかってしまいます、、、)

 

貝灰を焼く前の状態では、炭酸カルシウムが主成分だということで、

貝殻をそのまますり潰して、カルシウムイオンを溶出しつつ、
媒染できるようなので、今度実験してみたいと思います。

ちなみに、
カルシウム/Caって、牛乳などを飲んで、骨を丈夫にするとよく耳にしますが、
実は金属類なんですよ。周りのみなさんに聞くと、意外とこのこと忘れてしまっているようです。

これからも、日々実験と学び。
全ては難しいですが、循環可能な環境に優しいお店の運営を目指します♪